SMBC日興証券の指値注文では「今週中」という期間指定が可能です。いえ、期間指定ができること自体は珍しくないのです。「一般信用売りにも指定できる」という点が他の証券会社に無い珍しい仕様となっております。
※前提として2019/10/22時点の情報です。今後システムが変わった場合は最新の情報をご確認くださいませ。
さて、株価は日々変わりますので、翌営業日の値幅制限も毎日変わります。すると、ここで1つの疑問が浮かびます。
値幅制限を「はみ出した」指値注文はどうなるの?
とり子
この疑問の答えを「個人的に」検証しましたので、レポートさせていただきます。もし、間違っている点があれば、どうか twitter 等でご教授くださいませ。よろしくお願いいたします。
わたしの結論
まず、忙しい人のために結論をお知らせします。
- 前週金曜夕方(17時)~木曜深夜(26時)は値幅制限で失効しない
- 金曜の値幅制限外になると木曜深夜(26時メンテナンス以降)に失効する
- 営業日当日に値幅制限外の指値は「6時半~17時」に訂正できない
※平日が祝日の日はズレます。ご注意ください。
なかなかトリッキーなシステムだと感じました。そもそも1が珍しいですし、1があるからといって甘えていたら2や3のトラップに引っかかります。
公式を確認する
では、まず大本営による公表事項を、検証した身から読み解いてみます。
1.翌発待
値幅制限外のご注文は翌日発注待ち(翌発待)というステータスになるようです。このステータスが何であれ、要は失効しないケースがあるということが分かります。
2.週末はエラー
週末はエラー扱い、だそうですが、週末?金曜日?何時?という曖昧さのある表現です。確かに、そもそも「今週中」という注文ですから、金曜日には「値幅制限内かどうか関係なく」全ての注文が失効します。
3.訂正注文
ここの表現は含みのある一文だなと思いました。
5:00~6:30と17:00~翌2:00の「訂正注文は云々」と書かれているのですが、逆に言えば「この時間帯なら確実に訂正できる」ということがポイントです。
メンテナンス以外の時間なのですが、6:30に注文の扱いに違いが発生する境界線があるシステムのようです。
4.翌発待は訂正不可
検証した身としては、「ああ、変なのはこれのせいかよ」と納得した点です。普通の感覚だと、待ってるくせに「なんで訂正できないんだよ?!」とツッコミたいところなのですが、グッと押さえてください。
なお、取り消しだけはできるのですが、在庫再確保の瞬間技に自信のある人以外おすすめしません。
わたしの検証結果
水曜日から金曜日までを使って検証した結果を表にまとめました。
1.ずっと値幅制限内
今週中の通常注文は金曜日の15時に自然と失効します。
まず、通常の注文を発注・訂正できる基本の時間帯を確認したいですね。
「最後のチャンス」と書いているところは、注文訂正ができる最後のチャンスの時間帯となります。
2.値幅制限をはみ出したまま
「週末はエラー扱い」という曖昧な文言を、このケースで理解することができました。
- 週末金曜日の午前2時以降は「値幅制限外をエラー扱い」する
ということだと解釈しました。
注目すべきは木曜日で、日中は前述の翌発待となり、26時つまり深夜2時以降に失効することがポイントです。つまり、覚えておきたいことは、値幅制限をはみ出した日の
- 朝と昼(6:30~17時)は訂正できないが
- 17~26時(深夜2時)の間に訂正できる。
- しかし木曜26時(金曜2時)を過ぎると手遅れ
ということです。さて、こちらのメッセージの右上の日時にご注目ください。
2019/10/18は金曜日で、その「2:52」での失効だったようです。一応、上の説の証拠になるのではないでしょうか?
3.値幅制限をはみ出して戻った
偶然このケースを試せました。
木曜日は値幅制限の外に出て、金曜日に値幅制限の中に戻った場合は、金曜日の結果が通常の注文と同じになりました。当たり前といえば当たり前なのですが。
値幅制限以外にも気をつけたいこと
昨今、クロス取引をするタイミング選びが2~3か月に渡るようなことが当たり前になりつつあります。
すると、苦労して在庫を確保した一旦の指値注文が、値幅制限で失効しないか?という心配以外にも、実は「意図しない約定をしてしまわないか?」という心配も忘れてはいけません。
もし、一般信用売りをストップ高に指値で置いていたとき
- 決算発表(3か月に1度)
- 業績予想の修正(突発もある)
- 資本提携(突発)
- TOBやMBO(突発)
などを理由として、ある日突然の材料で株価が急騰することがあります。
すると、本来はクロス取引で「買いの注文もペアで約定させたかった」のに、片方の注文だけが約定し「空売りだけを持った状態」となり、株価変動のリスクに晒されることになってしまいます。
これを回避する何か良い方法があればいいのですが、今のところ、クロス取引をする予定の日まで、慎重に株価を監視し続けるしかないように思います。
急騰しそうor急騰した事態が発生すれば
- 予定日を早めてクロス取引を決行する
- 指値を取り消して在庫の確保を諦める
どちらかの対応しかないでしょう。
突発の事態は予想も回避も難しいのですが、「決算発表の日」くらいは事前に調べれば分かるので、たとえクロス取引だけが目的とはいっても、決算発表の日くらいは証券会社の情報ページで下調べしておきたいものです。
また、ツイッターのようなSNSを活用することもオススメです。優待クロスに興味のある人をたくさんフォローしておくと、みんな似たような銘柄に関心があるものです。偶然ツイッターの情報で、自分の銘柄のプレスリリース等を知ったおかげで、たまたま危機を回避できた、そんな経験も実際にありました。
レポートは以上です。最後までご覧くださいましてありがとうございました。
コメント
とり子 様
良記事を有難う御座います。
今週中の使い方をやっと理解できました。
SMBC日興証券の17時争奪戦では、16時半頃から復活銘柄と復活数をみて反応速度が遅い私でも取得出来るかどうかを気にして注文しているので成行注文しておりました。
今回は高コスト覚悟で12月24日17時に3月銘柄のSRSHD(8163)終値1,042円を在庫確保するにあたり一般信用今週中指値2,000円で売り注文をして12月26日木曜日17時5分に成行注文に変更、忘れずに制度信用成行買い注文をして当初想定していたコストより安く取得する事が出来ました。
何せ現引資金がショートしており12月権利銘柄の資金が戻って来るまで制度信用買いを全株数現引できない状態で、制度の金利を払っておくしかないなとも考えていましたので、今回の取引では12月権利銘柄資金が戻って来ての現引が出来ました。
どちらにせよまだまだ高コストですよ、と突っ込まれそうですが、いつもクロス取引で取得した優待券が到着してお店で使用している頃にはコストがどうだったか忘れている私ですので、出来る範囲で程々に楽しんでおります。
今後も記事を楽しみにしております。
ありがとうございました。
六十六式さんコメントありがとうございます!
記事が役立ったようで嬉しいです♪
日興さんのこのシステムは、
貸株料がかかっても早く確保したい勢にとってありがたいです。
SRSHDは例年在庫が早く無くなってしまうようですから
遅くとも今月中にはゼロになるでしょう。
年末確保でも、さほど変わらないと思います♪
そもそも、コストをどのくらいまで許すかは
投資と同じで、自分の生活、価値観、
お財布事情次第ですから自由に設定して良いと思います!
楽しく得したと思えればOKですね♪
またよろしくお願いいたします。
とり子 様
はじめまして。
2020年の3月よりクロス取引を始めた、初心者のCOCOと申します。
とり子様のブログで毎日勉強させていただいております。
『今週中』の使い方で教えていただきたい点がありコメントいたしました。
記事中に
値幅制限を「はみ出した」指値注文は、前週金曜夕方(17時)~木曜深夜(26時)は値幅制限で失効しないとございますが、
例えば、
終値1000円の銘柄を在庫確保するにあたり、一般信用今週中指値5000円で売り注文をして翌週木曜日17時30分に成行注文に変更する
といった注文で問題ないでしょうか?
制限値幅±300円を大きく上回る指値5000円と言うのは問題ありますでしょうか?
「株価の急騰により今週中指値注文が約定してしまっていた」という書き込みもありましたので、制限値幅を大きく上回る指値注文を出した方が良さそうな気がしたのですが、かけ離れているのも問題があるのではないかと疑問に思いました。
そして、とりこ様が在庫確保時には制限値幅をどの程度上回る指値で注文を入れられていますか?
また、実際に「株価の急騰により今週中指値注文が約定してしまった」場合はどのように対応すれば良いのでしょうか?
長文、質問ばかりになってしまい申し訳ございません。
お手すきの際にご教授いただければ幸いです。
これからもブログ楽しみにしております。
よろしくお願いいたします。
COCOさま
ご覧くださいまして
コメントくださいまして
ありがとうございます。
ご質問の件ですが
実は、取引所自体が受け付ける値幅には
「終値に対する元々の制限」があります。
値幅制限
https://www.jpx.co.jp/equities/trading/domestic/06.html
これに収まる範囲でしか
「注文自体がどの証券会社からでも不可能」ということです。
さて、では、何円で指値をするか?ですが
答えとしてはストップ高です。
しかし、ストップ高であっても
約定するリスクはあります。
最低限、企業のお知らせや値動き、
当日の株価ランキングをちゃんと確認しないといけません。
特に、決算前は避けるべきです。
よって、その銘柄・会社の決算の日は調べておきたいですね!
もっとも、クロス取引をする人は
誰でも1度は意図しない約定の失敗を経験しているでしょう。
そこで!約定してしまった場合は?の回答ですが
「気付いたときに新規買い(信用or現物)」
私は、このようにしています。
株の値動きは残念ながら分かりません。
(それができればトレーダーになれます!)
気付いた日が、当日であれ翌日であれ
利益があるか損失があるか、それも分かりません。
しかし、意図しない失敗してしまった状態から
さらに運否天賦に任せてしまうのはギャンブルだからです。
もちろん、ギャンブルと理解して
値段が戻るのを待つのも選択ですね!
覚悟してやる分には、悪いことではありません。
以上となりますが
いかがでしょうか?
とる造 様
お忙しい中、丁寧に回答いただきありがとうございます。
質問内容が重複するかもしれませんが
例えば、
本日20205/31、キングジム(7962)に一般信用今週中指値5000円で売り注文を出すと、6/1にこの注文は失効するという事でしょうか?
それとも、『翌発待』となり木曜日の夕方に成行へ変更→買い注文を入れクロス取引の状態にできるという事でしょうか?
約定してしまった場合の対処方法は承知しました。
注文は出しっぱなしにせず、毎日確認しながら
「気付いたときに新規買い(信用or現物)」
で、対応いたします。
なかなか、頭の整理が出来ず質問ばかりになってしまい申し訳ございません。
よろしくお願いいたします。
COCOさま
金曜(週末)朝2時=木曜深夜26時からの
メンテナンスを越える場合のみ、
「翌日が来週になってしまう」ため失効する
そうでなければ5時に翌発待となり
夕方17時までは訂正ができない
つまり、木曜(週末の前営業日)までの毎日は
どんな注文でも17時を過ぎれば、訂正が可能
と、まとめることができると思います。
COCOさまの例ですと、
5/31に注文した5000円の指値は
6/1には失効せず、日中は翌発待となり
6/1の17時以降から訂正が可能となる。
もし6/4木曜の深夜2時まで
5000円のままだと、失効してしまうでしょう。
結論、COCOさまのおっしゃる
>>>『翌発待』となり木曜日の夕方に成行へ変更→買い注文を入れクロス取引の状態にできる
が正解ですね!
わたしが勘違いしてい点がございまして
まさか、新規注文の時点で
値幅制限を無視できる証券会社がある!
ということでした。
COCOさまのご指摘で初めて知りました。
教えてくださいまして感謝です。
いやはや、わたくし頭が固かった・・笑
5/31時点で今週中あるいは6/5まで期間指定
値幅制限外の新規注文可否を確認したところ
可能:日興、SBI
不可能:楽天、カブコム
という状況でした。
証券会社でマチマチなのですね。
さきほど確認しただけで
一週間の検証はしておりませんが、
日興の場合は
おそらく申し上げた通りと思います。
間違いがあった場合は
再度コメント差し上げます。
以上ですが
よろしくお願いいたします。
とる造 さま
お忙しい中、早速のご回答ありがとうございます。
値幅制限を超える指値注文、納得できました。
丁寧に解説していただき、ありがとうございます。
また、各社の値幅制限外の新規注文可否の情報まで教えていただき
重ねてお礼申し上げます。
今後も記事を楽しみにしております。
ありがとうございました。