普通に株を買ったり売ったりすると、どんなリスクがあるのでしょうか?代表的な投資スタイルをおさらいしながら考えてみましょう。
とり子
とる造
ここからの記事は、とる造がお伝えいたします。
短期投資のリスク
スイングトレード
たとえば、市場の資金と関心がどのセクター、どのテーマに流れているかを感じ取り、日足レベルで動き出した個別株を慎重かつ大胆に売買していく手法。ファンダメンタルズ分析よりも短期視点で、テクニカル分析よりも市場参加者の心理を重視した手法。流動性が乏しくなった現在の東証でも、唯一大きなリターンを狙える夢のある手法。ただし、最も株のセンスが求められる。短い期間で爆益か大損のような極端な結果が珍しくない。ハイリスク・ハイリターン。
デイトレード
日計り取引と呼ばれる。日本株は個別銘柄によほどの事情がない限り、欧米株の値動き、欧米の株価指数に完全に追従して連動する。日本で夜間となる欧米市場の動き・急落リスクを避けるため、当日の東証が閉まる前に必ず決済して現金にする手法。利ざやが1日の値幅に限定されるため、利益の機会自体が絞られてしまう。機会が限られる分、センスが必要。ローリスク・ローリターン。
スキャルピング
数秒から1分、長くとも5分単位の値動きを利ざやとする、きわめて短い時間軸で何度も何度も売買を繰り返し、通算して利益を積み上げる手法。
株に関わらずあらゆる金融商品には、買った瞬間必ず損で始まる「スプレッド」が存在する。もちろん売買委託手数料も発生するかもしれない。スキャルピングは売買を繰り返す分、積み上がったスプレッドと手数料の分以上に勝たなければならない。センスの前に支払うコストがとても重たく難易度が高い。ローリスク・ローリターン。
また、スキャルピングは近年発達中のコンピュータが最も得意とする分野。心身限界のある人間の目と手で、シビアな売買タイミングの奪い合いや淡々と回数を重ねる戦いを、電気で休み知らずに動くコンピュータ相手に挑むのは得策とはいえない。
長期投資のリスク
株式投資における長期投資は王道といえるだろう。ファンダメンタルズ分析を軸に長期投資で大きな財を成した投資家は多い。
必ず上下し続ける値動き、変わり続ける業績、さらに景気の循環までを含めても、不確定要素だらけの金融市場である。大数の法則的に、時間をかけた分、長期投資が様々なリスクを減らすことは数学的にも事実といえる。
ミドルリスク、ハイリターン。
デメリットが無いような長期投資だが、強いて言えば以下である。
どーんと構えて待つやり方だから、入口は明確だが、出口の判断が難しい。また、もしリバランス(資金配分の見直し)をするとすれば、その内容とタイミングと戦略のセンスが要求される。
また、時間的な効率の評価も難しい。もし10年、20年で利益が出なかったらどうだろう?お金は様々な方法で稼ぐことができる。しかし、過ぎた年月だけは取り戻せない。人生の10年、20年は時間のコストとして決して安くない。
インデックス投資のリスク
分散投資
たとえば、注目したゲームアプリを作る企業の株を一点買いしたとしよう。すると、この投資の命運はその企業と一蓮托生となり、ハイリスク・ハイリターンである。では、このリスクを下げるために、ゲームアプリを作る他の企業の株もあわせて買うことにすれば、競合との勝ち負けや、業界全体の成長もカバーすることとなり、リスクを下げることができる。さらに、スマートフォンに関連する企業の株も買えば、たとえゲームアプリ全体の需要が冷え込んでも、結果をカバーできるシナリオが拡がり、さらにリスクを下げることができる。
しかし、狭かろうと広かろうと範囲を絞っていると、絞ったもの全体がコケたときのカバーはできないし、そもそも株価の上昇ばかりへ狙いを絞っていると、それこそ欧米などの金融危機が起きれば、分散を工夫した投資は日本株ごと巻き込まれてしまう。
そこでリスクヘッジ的な分散投資がある。Aという投資信託は日経平均の上昇と比例し、BというETFは日経平均の下落に比例する。このとき、Aだけを保有していると、日経平均が下落したときそのまま損をしてしまう。そこで、ある程度Bを組み合わせて保有すると、日経平均が下落したときの損が相殺され抑えられる。もちろん、逆に上昇したときの利益も減ってしまうのだが。
分散投資はリスクを落とすことができる。しかし、複数を保有するため資金効率が下がってしまう。また、分散の幅を拡げれば拡げるほど、確かにリスクが下がるが損益が変化しにくい組み合わせに近づいてしまう。すると、そもそもなぜ現金をわざわざ投資に回したのだろう?という本末転倒な疑問に悩むことになる。
このように、分散投資もリスクは様々で、分散のやり方にセンスが必要だ。
ドルコスト平均法=定額の積立投資
ドルコスト平均法は「いつが安いかを予想しない」というルールで購入する手法である。購入タイミングを時間軸で均等に分けて、決めたそれぞれのタイミングで単価がいくらであろうと機械的に購入額分を購入し続ける。
こうすることにより、単価が安いときは多い量を、単価が高いときは少ない量を買うことになり、結果的な購入平均単価を安くすることができるのだ。
ドルコスト平均法の具体的な購入をイメージしてみよう。
たとえば、1年後までに30万円分の投資信託を買う目標があるとする。購入回数は手数料との相談だが、毎月ぐらいが妥当だろう。まず、金額を12等分すると2万5千円となる。次に、期間を12等分し購入日をここでは第1営業日と決める。毎月の第1営業日に、目的の投資信託の基準価額がいくらであろうと、固定の2万5千円分を購入する手法がドルコスト平均法だ。
繰り返しになるが、基準価額が安かった月は多い口数を積み立てる結果になるし、基準価額が高かった月は少ない口数を積み立てる結果になる。
ドルコスト平均法のメリットは、値動きの予想をせず、値動きのリスクを排除できる点にある。いつまでに、どれだけの金額分の、なになにを購入したい、という目的がある場合、現時点においてベストに近い購入方法がドルコスト平均法だ。
自分で買うタイミングを予想するデメリットは、もし値下がりを待っていた場合、延々と値上がりしてしまったら買えないままタイミングを逃してしまうし、目先の値下がりに飛びついて予算を使い果たした場合、さらに値下がりした買いのチャンスを逃すことになる。
ただし、値動きの予想に自信がある場合は、ドルコスト平均法を用いる必要はないだろう。今が安いと思えば買えばいいし、高いと思えば待てばいい。
値動きの予想ができない場合、ドルコスト平均法に従えば、結果的に効率が良く後悔の少ない買い方ができるだろう。
ドルコスト平均法は時間の分散投資、時間軸の分散投資とも呼ばれる。
この対局の手法が、悪名高きナンピンである。ナンピンは、価格の分散投資、金額軸の分散投資といったところになるのだが・・・果たして?
時間経過は均等に等速で、過去から未来へよどみがないが、価格の変化は均等でも等速でもないし、何百倍何千倍から上場廃止の1円まである不確定要素である。信用でレバレッジをかけたナンピンは言語道断として、現物ならば何十年に渡り耐える手もある。しかしながら、お金と同様に穏やかに過ごせる人生の時間も大切にして欲しい。ナンピンだけはオススメできない手法である。
まとめ
いかがだったでしょうか?
とり子
どんな投資スタイルでも、キャピタルゲイン(値上がり益)を得ようとすると、リスクは避けて通れないことが分かりましたね。また、リスクをコントロールするため、高いリスクには高いスキルが必要なことも忘れないでください。
どのような投資手法に関心を持ったか、考えてみることが第一歩です。自分の投資の目的や、自分の性格に合った投資手法をじっくりと見つけましょう。
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