つなぎ売りとは、保有株と同じ銘柄への信用売り(空売り)のことです。信用売りは、株価が下がると利益になります。今後の株価下落が予想できるものの、どうしても保有株を売りたくないとき、つなぎ売りをしておけば、株価の下落による損を信用売りの利益で減らすことができます。
株主優待タダ取りは、このつなぎ売りを使って権利確定日までにクロス取引を行う手法です。このやり方によって、権利落ち日に起きる株価の下落による損を回避しながら株主優待をもらうことができます。
また、つなぎ売りをする信用売りに一般信用取引を使えば、逆日歩のリスクも避けることができて安全です。
つなぎ売りがどのようにリスクヘッジとなって、ノーリスクで株主優待がもらえるのか?仕組みとやり方、注意点を図解でわかりやすく解説します。
つなぎ売りとは?
株主になるって、大変そう・・・
とり子
とる造
「株主」とうい言葉の響きは重そうじゃからのう。
やっぱり株主優待をもらうことって難しいの?
とり子
とる造
ん?んなこたぁない!たった1日株主になればもらえるぞい。
え?!1日だけでいいの?
とり子
とる造
1日どころか、15時までに購入して、そうじゃな・・・18時には売却(または現渡し)の注文を出しても大丈夫じゃよ。
たいていの企業の株は、企業ごとに決められた年1・2回ある権利確定日(権利付き最終日)「だけ」株主であれば株主優待がもらえます!
とる造
ね?簡単でしょ?
でも、そんな上手い話、あるのかなー?
とり子
とる造
ふふ、その通り。
とる造
株主優待の権利確定日の多くは、株主優待だけでなく配当の権利確定日でもあるのじゃ。
配当金もなんだ?!
とり子
とる造
そうじゃ。権利日には配当金も株主優待も もらえる。そんなお得な権利日と、翌日(権利の無くなる権利落ち日)の株価が、もし?同じなら何が起きると思う??
みんな権利日に買って、みんな翌日(権利落ち日)に売るわね!だってタダで配当金と株主優待がもらえてしまうんだもの!
とり子
とる造
その通り!じゃが、現実にはそういうことは起きない。
なんで?
とり子
とる造
どんな市場にも、裁定取引(アービトラージ、サヤ取り)と呼ばれる、理論上の価格と実際の価格の歪みに注目して収益を狙う市場参加者がおるのじゃ。彼らの取引の結果、株価は修正されてしまう。
うーん、小難しい話ね・・・
とり子
とる造
おっと、すまない。要は、上手い話は無いよ?「権利落ち日の朝は株価がほぼ確実に下がって始まる」それだけを覚えておけば大丈夫じゃ。
うわぁ!こりゃ大変だ!
とり子
とる造
そうじゃろ?せっかく配当金と株主優待をもらうのに、これでは含み損でチャラになってしまうのう。
ねえ、何とかならないの?!
とり子
とる造
そこで「つなぎ売り」という信用取引の登場だ。
信用取引?なんだか怖いよ・・・
とり子
とる造
そうじゃな、信用取引のイメージは怖かろう。じゃが、そのくらいの気持ちで問題ない。慎重さが大切じゃからの。
※「信用取引は怖くない」という記事は執筆中です!お楽しみに!
とり子
とる造
さて、つなぎ売りとは、持ち株と同じ銘柄への空売り のことじゃ。
同じ銘柄に?売るの?それって意味あるの?
とり子
とる造
持っている株を売る代わりに、別の注文で新しく空売りをするのじゃ。
株を持ったまま、空売り?空売りってのは、株価が下がると儲かるやつ?
とり子
とる造
つまりこういうことじゃ。
そうか!持ち株の値下がり損が、空売りの値下がり益で相殺されてるのね?!
とり子
とる造
その通り!そして、株主優待は?
もしかして、持ち株を売ってないから、もらえる?!
とり子
とる造
もらえちゃうんじゃよ!
すごーい! あれ?配当金は?!まさか配当金も?
とり子
とる造
うーん、世の中そんな甘くないのじゃ。信用取引において、買いは配当金をもらえるが、売り(つまり空売り)は配当金を支払わねばならないのじゃ。
ええ?!じゃあ、つなぎ売りをすると、持ち株の配当金と空売りの支払う配当金とでチャラになって、配当金がもらえなくなるのね?
とり子
とる造
そうじゃな。株主優待だけでも無事なんじゃから良いんじゃよ。
なるほどね。空売りしてると配当金を支払うってことだけど、株主優待は支払わなくていいの?笑
とり子
とる造
支払いようが無いのじゃ。信用取引で配当金をもらう権利と支払う義務があったが、株主優待については信用取引で「もらう権利も支払う義務も発生しない」のじゃ。
へえ、つなぎ売りだけじゃなく、現物取引と信用取引との違いも勉強になったわね!
とり子
とる造
これでとり子も株主優待タダ取りができるな!
※「株主優待タダ取りとは?」という記事は執筆中です!お楽しみに!
とり子
まとめ
つなぎ売りとは、株(現物株)を保有している人による、同じ銘柄の信用取引の信用売り(空売り)のことです。
持ち株(現物株)と、信用取引の信用買いと、信用売り(空売り)と、それぞれを権利日に持ち越すと、配当金と株主優待の権利と義務がどうなるかを見てみましょう。
配当金 | 株主優待 | |
現物買い | ①もらえる | ③もらえる! |
信用買い | もらえる | もらえない |
信用売り | ②払う | 払わなくてよい |
つなぎ売りを利用した株主優待タダ取りの仕組みを簡単に説明します。まず、現物買いと信用売りを同じ株数で同じタイミングで注文して約定させます。これをクロス取引といいます。
①と②の配当金は同じ金額をもらって支払うのでトントンですね!でも、③の株主優待はもらえるだけで済むのです!
また、信用取引には制度信用取引と一般信用取引という2種類の信用取引があります。クロス取引に使う信用売りを、制度信用にするか、一般信用にするか、この違いも大切なので覚えておきましょう。
制度信用売りはたくさんの銘柄でできるのですが、逆日歩という貸し株を調達するための手数料があり、金額を事前に予想することができません。その支払いがビックリするような金額になることも珍しくありません。
一方、一般信用売りには逆日歩がないので安心です。しかし、一般信用売りをできる銘柄は比較的少なく、さらに在庫(注文できる株数)が限られています。人気銘柄の場合、他の投資家とタイミングや抽選で奪い合うことになり、売り切れで注文できないことも増えてきました。
手数料 | 在庫 | 逆日歩(貸株料) | |
制度信用売り | 同じ | たくさんある | 事前には予想できない |
一般信用売り | 同じ | 人気株はレア | ナシ! |
制度信用売りのメリットは簡単にできる点、デメリットは逆日歩の支払いがギャンブルになる点です。一方、一般信用売りのメリットは逆日歩が無い点、デメリットは扱いの少なさと人気銘柄での在庫の少なさです。
結論です!株主優待タダ取りのためのクロス取引をするのなら、一般信用取引を利用した一般信用売りをオススメします!
とり子
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