あなたはブラックスワンを信じられるか?

上級者向け

とる造です。

本日は2020年3月21日 この3連休、証券業界の若手営業マンは憂鬱かもしれません。株式市場も証券会社も閉じている連休でホッとしたのも束の間、ただでさえ何週間も顧客の嘆きと苦情に晒され、週明けにそのピークが来ることも想像に難くありません。

営業マンが悪いのでしょうか?個人投資家が悪いのでしょうか?

タイトルの件です。ブラックスワンとは黒い白鳥、通常では起こり得ないことのたとえです。結論から言えば、ほとんどの人間はブラックスワンを信じられません。ましてや行動なんてできません。

ところで、市場の価格変動大きな要因は

  • 分からないこと
  • 目に見えないこと

と言われています。下落・上昇の方向は問いません。

たとえばTOBや上場廃止が極端な例ですが、明確なプライスが周知されていれば、その数値に株価は収斂して変動しません。良いことであっても悪いことであっても、不確かだから価格は上下するのです。

もっとも、上場廃止が決まって100%減資なんてことが発表されていても「いやいや、まだ分からないぞ?」と思う投資家や「そう思う投資家がいる」と想像する二次的な投資家によって、理屈ではありえない1円よりも高い株価で寄り付いて、上下しながら売買されてしまうのが株式市場です。そんな人間の心理はたいへん面白いですし、相場が可能性を信じる人間の心理に支配されていることが分かります。

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予想は可能でも行動も信用もできない

この記事では、みなさんにロールプレイ(立場のイメージ)をお願いします。まず、このチャートをご覧ください。

あなたはこの指数に連動する商品、株を売る営業マン、あるいは買いを勧められた個人投資家、どちらでも構いませんのでイメージしてください。

道中、色々な下落もあったが結局上昇、また再び上がり始めたかな?そのような感想を持つのではないでしょうか?

また、直近の高値を結ぶWトップのネックラインが意識できるため、超えると上昇、跳ね返されたら下落、そんな風にも見てとれるかもしれません。

さて、9か月後の2019年末、このような結果となりました。株価は順調に上昇、天井からは少し下げたようです。前回買った人は含み益がありますが、少し目減りした状況です。

このくらいの下げで、個人投資家のあなたなら利益確定できるでしょうか?

あるいは、営業マンとして「せっかくの含み益ですから、手仕舞いしてはいかがでしょう?」と助言できますか? また、されたとして個人投資家は「そうだな」と思えますか? 従えますか?(もっとも営業マンがこんな助言をすることは、現実ほぼありませんが・・)

事態は変わります。

ウイルスの報道が始まったのです。「サーズやマーズといったものがまた発生したのかな?」「対岸の火事だろ?」「日本に来たら困るな・・」色々な意見が飛び交った頃ですが、株価は維持されている状況です。

交錯する世間の空気と、無反応のままの株価とを前に、個人投資家は利益確定できるでしょうか?

営業マンとして「まだ含み益がありますね、念のため手仕舞いしていかがでしょう?」と助言できますか? また、されたとして、個人投資家は「そうかもな」と思って従えますか? 「念のためって何のため?」のような反応が予想できます。

おそらく、まだ売る人はほとんどいないでしょう。

ましてや、誰かがここで「上げた分全部戻す大暴落が来るから今すぐ売れ!」と警告したとしましょう。

誰が耳を貸すでしょうか?「こいつ、人の利益を妬んでるのか?」くらいにも思われるかもしれません。

狂人の扱いすらあるでしょう。それが普通だと思います。

「話は聞かせてもらった!世界は滅亡する!」という漫画のセリフがありましたが、あのシーンくらいオカルトな話と思われるのがオチです。

たとえ、冷静な反応をする人であっても「気持ちも分かるが、いくら何でも言い過ぎじゃないか?」という程度でしょう。

そしていよいよ事態が身近な話になってきた段階です。

日本でも感染者が確認され、イベント自粛などの社会の反応も始まり、生活が少しずつ変わり始めました。

株価も結構下げて来ました。過去の暴落の値幅に近付いて来たのです。この段階で初めて多くの人が現実的に受け止めて、対策を考えて行動し始めます。

ここまで来ると、個人投資家の意見が分かれ始めたり、「むしろ安くなったから買いましょう!」語気を強める営業マンも現れたりするでしょう。

ある人は損切りを、ある人は買い増しやナンピン(思想によって表現は異なる)を考えるわけですが、基準になる価格というものがあります。その例をご覧ください。

アベノミクス以降、ショックと名前のつく暴落が2回ありました。厳密にはトランプの選挙過程や、2018年のクリスマスあたりも、きつい暴落でしたが同レベルと考えてください。むしろ4回もそれなりのショックを乗り越えた7年だったといえます。

ともすれば、このくらいの下落が、損切りや買いに向かう基準になり得ると考えても常識的な分析ではないでしょうか? もう1つの例を挙げましょう。

直近(といっても月足なので年単位)の安値です。アベノミクス以降、7年の間に3つの底が見てとれます。このくらいの位置であれば、損切りの降参をしても、あるいは逆に買いに向かっても良いわけです。この3つを段階的に判断しても良いでしょう。こちらも常識的に異論は無いはずですし、むしろ慎重過ぎるという声すらあるでしょう。

みなさんが証券の営業マンだったら、どのように助言したいですか? どのような助言を信じますか? 過去7年4回の大きな下げがあったにも関わらず、すべて高値を更新した事実を前に「損切りしましょう」と言われて「はい」と損切りができるでしょうか?

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翌月の現実です。

イメージした価格の基準を全て超えてしまいました。アベノミクス分をほぼ全て埋めてしまう下落でした。

つい年初には、ほとんどの人がイメージしなかっただろうし、下落の始まった先月末の段階であってもイメージは難しかったと思います。もちろん、私もです。

嘘だろ? そんな感想の人がほとんどだと思います。

また、幅下落を予想した人でも こんなに早いとは思っていなかったはずです。

今回の何が異様かを解説します。
このチャートの期間をリーマンショックの頃まで拡大してみます。

値幅はこんなものか・・と思えるかもしれませんね。 しかし、お分かりいただけますでしょうか?

もっとも異様な出来事とは、リーマンショックで8か月かかった下落幅を僅か2か月で実現した「期間の短さ」です。何ヶ月もかけて、時間をかけて大暴落することは決して珍しくありません。しかし

  • まったくリバウンドせず
  • 短期間で下落

ここに今回の大暴落のブラックスワン的な要素の核心があります。

少しだけ、与太話です。

最近は見かけませんが、このチャートは仕手株の解体相場そのものです。私がこのチャートを見て真っ先に思い出したのが、古い方はご存知かもしれません、OHT(オー・エイチ・ティー)という企業の株です。

Google画像検索

ここは株価の高騰自体が完全にアウトな事件が原因であり、その後の暴落であります。値幅も下落率も比ではありませんが、チャートの形状だけ似ていると感じました。このような下げ方が、何のインチキもなく発生しているという現実は、ただただ異様といえます。まるで化けの皮が剥がれたかのような、恐ろしさです。

話は戻ります。

上がる、下がる、さらにこのあたりまで、そういった予想は可能なのですが、問題は期間、タイミングです。

さらに、予想を信じること、予想に基づき実際に行動することはもっと難しくなります。

常識、現実は「ほとんどの場合と期間で通用する」ため、わざわざ例外を採用するよう判断できませんし、それが合理的な判断だからです。

もしも、今回の顛末を知っていてタイムマシンで戻れるとしても、誰があなたの助言を信じるでしょうか? 信じてくれても本当に行動してくれるでしょうか?

期待は裏切る 予想は超える

こんな言葉があります。「期待は裏切られる」から過度に期待はしてはいけないし「予想は超える」から過度に予想を信じてもいけない。

  • もっと → ほどほどで
  • ここが限界 → ここは超えるかもしれない

と身構えることです。具体的には

  • もっと、と思ったとき「敢えて」何割かは利益確定する
  • ここが限界、と思ったとき「敢えて」全額でなく何割を買う

要は、先のことは分からない事実を受け止めて「今の機会損失を認める」という心構えが大切になると考えます。機会損失するくらいなら死んだ方がマシだ!!という人もいるでしょうけども、私はおすすめはできません。

期待と予想は、あくまでも「今日の時点の」期待と予想であります。明日にはガラっと変わっているかもしれません。また、変わるのは相場かもしれませんし、相場とは全く関係のない自分だけの人生を揺るがすような出来事が発生するかもしれません。

身を守るために、期待と予想は日々更新し、機会損失を認めましょう。戦略的な妥協が生き残りを保障します。

株をしなかった人は1円も損しなかった

当たり前の話ですが、投資を何もしなかった人は今回の暴落で1円も損をしていません。私自身も株をするまでは「日経平均株価がいくら」だとか、気にしたことがありませんでした。株価暴落?そう・・という反応が国民の大多数の反応でしょう。

つまり、自分の中で「何割かは何もしない人でいる」ようなポートフォリオも必要なのかもしれません。(もちろん、日本円自体が多少はリスク資産という考え方もできますが。)

全力で戦ってはならない、ということです。 確かに、全力で戦う様子はカッコ良いですし、絵になります。ある程度は、勝ち方にこだわる感情も理解できますが、勝ち方にこだわるあまり大きな損失を出しては本末転倒です。

また、専門家やプロだけが叡智ではありません、岡目八目という言葉もあります。その世界のベテランだったとしても、一旦常識外の状況となったとき、逆に経験が仇となることすらあるでしょう。これは後述する実体験です。

しかし最後に私の経験を伝えたい

投資の世界において、どんな商品、どんな投資スタイルであっても、資金管理は極めて重要だし、投資以外の世界でも「変化し続けないと生き残れない」という真理も存在します。次いで、守りが大切ということも忘れてはなりません。

しかし、今回の結果に後付けしたような、まるで「守備一色かのような思想」では投資に対する姿勢としてバランスが悪いと思います。

大暴落の経験と恐怖を体験したデメリットについても、強く主張したいと考えています。今回、つらい経験で思い知ってしまった人も多いのではないでしょうか?

わたしはリーマンショックの以前から株をしていましたが、リーマンショックの1年目に専業トレーダーになりました。リーマンショック自体では損をしなかった側でしたが、それでも酷い値動きの相場と1日も休まず向かい合い続けた結果「株は下げるもの」と強く思い込むようになってしまったのです。

その後、わたしは守りに徹するあまり、来たるべき世界的な金融緩和とアベノミクスの大波に一切乗れず、せっかく好調に滑り出した専業投資家人生が伸び悩み、個人投資家のままセミリタイヤすることができませんでした。この「守りに徹するあまり成功できなかった」わたしの体験は、別途詳しく書く機会があれば、と思います。

今、恐怖の真っ只中ですが、投資の世界に人生の軸を置くのであれば、ただ恐れれば良い、ただ守れば良いということも間違いであるという、わたしの主張も「こんな局面だからこそ」覚えておいてくだされば幸いです。

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この記事を書いた人
とる造

とり子の旦那。元専業トレーダー。デイトレードで10年食うも、AIの参入で市場環境に対応できず、2017年頃から不調、消耗し尽くす前に相場から離れる。現在はずっと好きだった株主優待のクロス取引だけ継続。薄給サラリーマン。子供時代も大学も会社もコンピュータ漬け、趣味のプログラマ。最近は機械学習に興味あり。愛した相場で愛した機械に負けたからこそ、いつか自分も機械を操れる身となりお金の世界で一矢報いたい。

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